「限りなく透明に近いブルー」とタイトルが似ていたので手にとった、小林光恵の「限りなくキョウダイに近い夫婦」です。内容はちっとも似ていません。
わたしたち[子供を]作らない主義なんです、と答えてしまえば、質問の主はそれ以上しつこく聞いてこない。[...] 主義という言葉には案外力があるものだ。(p.13)
主義、ね。今度使ってみよう。「昼食はカロリーメイトで済ませる主義なんです」とか。
家事分担はこまかなことでも担当を決めてしまったほうが気分よく暮らせる。(p.24)
これを知っていれば、もしかしたら、これまでに失敗してきた共同生活がうまくいったかも知れません。性別とか期間を問わず、たとえば合宿みたいなこととか。
ウェブで見つけた書評を見ていると、夫婦のあり方みたいなところに言及していることが多いです。でも、この作品はそういうことが主題ではないのでは、疑惑。
以下、全力でネタばれ。
そもそも、主人公たちはは夫婦を続けられないくらい、お互いを傷つけていると思います。夫が未熟さゆえに妻を傷つけ、妻の反撃はいきなり精神的にトドメを刺してしまっています。仲がいいけどセックスレスだからという理由で、兄妹という在り方を選択してるわけではない。そして、そればっかりを気にしていて、自分が相手を愛しているかどうかに目を向けていません。そこに気づくのか? 実際どうなのか? を読者は追っていくのだと思います。
あ、もしかして、みなさん同じことを思っているけれど、ネタばれみたいな無粋なことをしないだけなんですかね。