ゴールドラットの新作「ザ・チョイス」では、TOC を社外も含めたバリューチェーンに応用する場合の考え方について述べられています。ジャスト・イン・タイム方式はサプライヤーにリスクとコストを押しつけるのではなくて、サプライヤーに利益をもたらすやり方で実践できるという話。あるいは下流の販売店の利益にもなる、的な。売り切れによる機会損失を減らし、かつ、売れ残りのコストを減らすことで、全体のスループットが向上するというロジック。
確かにそんな気はするんですが、これまでの著作よりも恐ろしく回りくどい展開で、途中で読むのを挫折してしまいました。ゴールドラットと、その娘が対話するという形式で進んでいきます。
つまり、この場合の複雑という言葉の定義は、『システムに与えられている自由度が高ければ高いほど、システムはより複雑』という具合になるんだよ (p.70)
たとえば、ショッピングモールに入っている小さな本屋チェーン店なら、何を発注して何を返品するかくらいしか自由度がありません。定価売りですし、取次も固定的ですし、営業時間も決まっています。反対にちっちゃな雑貨屋とかだと価格、取引先、在庫、売る物などなど、一気に自由度が増えます。
この自由度こそが複雑さの指標である、という考え方です。この見方はビジネスによっては非常に実践的であるように思えます。