2007-02-02

村上龍 / 希望の国のエクソダス





これまでの学校側との話し合いは、決定済みのことを納得するためのものというか、これだけお互いに言いたいことを言い合ったのだから、もうこの問題は解決したことにしよう、というようなわけのわからないものでした。(p.98)

それまで勤めていた銀行では競争があったんですが、基準が曖昧なので疲れるんです。(p.406)



この、あるある感。



引越しの手伝いをしていたときに「五分後の世界」を頂いたのが、村上龍の作品との出会いでした。読むときには純粋にエンターテイメントとして読みます。それでも、最近の村上龍作品には、上に引用したように、慣れで見えなくなっている漠然とした不快感を指摘するような記述が多いことに気づきます。「五分後の世界」と「半島を出よ」の間に「希望の国のエクソダス」が出ているということは、もう10年以上の似たようなことを言い続けていることになります。



村上龍の指摘には、概ね賛成というか、気づかされる点が多々あります。そういうところも楽しみにしつつ読んでいます。



だからといって、人事に「頑張ってね」と声をかけられて「何をですか?」と答えていいわけではありません。自ら働きにくくしてどうする。スルー力に欠けていますね。



希望の国のエクソダス