2007-09-23

山口絵理子 / 裸でも生きる

ジュートを使ったカバンをプロデュースするマザーハウス社の社長の半生を記した自伝です。小学校でいじめにあい、中学でヤンキーになり、高校では男子部しかない柔道部に入り全国大会に出場し、慶応大学に入学、米州開発銀行でインターンの後、バングラデシュ留学、そして起業という、波乱万丈の人生です。

今後の生活に役に立つかというと、まったく役に立たない本です。理由は、この人がすごすぎるから。私だったら、どのフェーズでも途中で逃げ出しているか、のたれ死んでいるかでしょう。

たとえば高校生時代には、柔道に入れ込んでいますが、これが壮絶です。男子部しかない学校で稽古をするのですが、絞め落とされたり、靭帯を痛めたりです。でも「あきらめたらそこで何もかも終わってしまうから」と、逃げ出した部活にまた戻る。結果的に全国大会への出場を果たしたのですが、それはたまたま著者がすごいのであって、一般的には通用しないと思います。

その後、柔道一筋の生活から、小論文入試対策に入るのですが、そこで「もうムダな努力はやめなさい。絶対に可能性はないから」と担任に言われます。口に出すかどうかはともかくとして、こういうメンタリティは私にもあります。上述の柔道の稽古でもそうですが、そんなやり方や状況では無理だろう、という(少なくとも私にとっては)合理的な判断を下すわけです。ところが、この著者は慶応大学への入学を果たします。

著者のように何かを成し遂げる人と、私のように最終学歴が中退みたいになる人間との違いというのは、やっぱり才能の違いか、あるいは意外にも気合みたいなものの違いなのかも知れません。ですが非常に大きな違いがあることを痛感します。私は著者のようにはなれないので、応援をしようということに決まりました。

ところで、著者は「慈善の人」と書かれるのを嫌がっているようですが、「マザーハウス」のマザーは、マザー・テレサのマザー、と書いてあるので、しょうがないんじゃないあなぁとは思います。私の印象は「坂本龍馬みたい」というもの。経済的な成功によって世の中を変えよう的な発想。気になるデザインのバッグはあります。実物を見て気に入ったら買うかも。既に持ってるバッグにデザインが似ているので、使い勝手はいいはず。ジュートを気に入るかどうかが問題です。しかも、Let's Note が入るではないですか。嗚呼。

※ 2008年4月8日に加筆・修正しました。


裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ) (講談社BIZ)