2007-12-30

村上龍 / 愛と幻想のファシズム

上下巻を読了。好き嫌いで言うと、「希望の国のエクソダス」や「五分後の世界」がいいですね。この手の作品を読んでいると、無力感に襲われます。

[...]誰でも幸福になることはできる、だが貧乏人には快楽はない (上巻 p.61)

恐らく腹を立てているに違いないが、金持ちはケンカをしない。ゆう然と見ているだけだ。 (上巻 p.287)

かっこいいな、金持ち。必死ではない、というのは生きやすさという点での、重要なファクターなのかも知れません。

情報のない人間は、情報があればどんなものでもそれにとびつく (下巻 p.309)

ネタをネタと、的。この小説の中で、スーパーハカーが世界をシミュレーションして可視化したら豚の耳の絵になる、そこに神の力を感じる、みたいな話が出てきます。そんなもん軸と可視化方法によったら、なんとでも写像できるだろうよ、と突っ込みそうになります。



ただ、金融だとか戦闘の話になると、私は知らないことだらけなので「へぇ」と感心してしまいます。たぶん、ちょっと知識のある人が読んだら、そんなわけあらへんやろうという気分になることでしょう。




愛と幻想のファシズム〈上〉 (講談社文庫)



愛と幻想のファシズム〈下〉 (講談社文庫)