村上春樹の「スプートニクの恋人」を読みました。スプートニクは出てきません。ノルウェイの森にもノルウェイは出てきませんし。タイトルでは想像がつかないところが、村上龍との違いです。
22歳の女性すみれが、年上の女性に恋をして、服装が少しずつ変わっていく様を、「ぼく」の視点から語る。ようにみせかけて、ぼくの物語です。すみれの世界に対するディタッチメントとコミットメント、ぼくのすみれや世界に対するディタッチメントとコミットメントが描かれています。
話の途中でギリシアに場面が移るのですが、このときの描写が「遠い太鼓」に書かれている村上春樹のギリシア生活っぽいです。船着場での喧噪や、夜の静かさとかが。
個人的な好みでは、村上春樹ランキングは、
- 国境の南、太陽の西
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
- スプートニクの恋人
です。「大切であったことに失ってから気づく」ストーリー大好きなので。ねじまき鳥など未読の作品もあります。