谷光太郎の「情報敗戦」です。なんでこの本を買ったんだっけ? と思いながら読んでいたら、途中で思い出しました。
その国のことは偵察衛星とかスパイによらなくとも九割は分る(p.66)
村上龍の「半島を出よ」の中で、こんな話が出てきたのでした。で、大量の参考文献の中から、おもしろそうだと思って選んだのが、この本です。歴史や軍事に疎いので、よく分らない箇所がたくさんあります。雑誌の連載をまとめたものだとは言え、情報を軽視したので戦に負けたという話が、別の人物によって何度も展開されている印象です。
日本人が二〇〇〇年にわたって農耕民族であったことだ。[...] 欧州系人の原点は狩猟社会である。(p.138)
欧州人が狩猟民族だというのは「農業技術によって定住を可能にし、そのおかげで社会を安定して発展させることができた」のだろうなぁ、という私の直感に反するのですが、気のせいでしょうか。ゲルマン人の大移動とかって、弥生時代くらいだったと記憶しています。
少年の頃より戦さのやり方ばかり学んできた正規軍将校にとって、株価の動きから、戦局の重大事項を推測することなど考えられなかった。(p.210)
肯定的なことも書いておきましょう。間接的な観測で、ものごとを予想したり計測するのはかっこいいと思います。ラザフォードの実験とか、すばらしすぎ。